てやんでぇ 第40回 白河の清流

作 文聞亭笑一

身上半減とはいかなる罪か?

 解ったようで解らない刑罰をNHKが実にわかりやすく映像にしてくれました。

何でもかんでも半分にする・・・単純明快な解釈ですが、暖簾まで半分にし、看板も半分にするとは・・・お笑いですね。

歴史学者によると2説あります。

 ①資産の半分を没収する。

 ②売上規模を半分にする。

・・・ですが②は規制や監視のやり方が難しく、現実的ではありません。

ドラマでは漫画チックでしたが①の説を採用したようです。

畳や家具まで持ち出していましたが、店の間口を半分にしなかったのが不思議でした。

土地と家屋を半分にされたら、その後の営業に差し支えます。

鬼平犯科帳

葵小僧が出てきましたねぇ。

池波正太郎の世界です。

鬼の平蔵

史実としても葵の紋を使った強盗事件があったようで、時代も一致します。

役者上がりの盗賊、大松五郎が極悪非道な犯罪を繰り返し、江戸市中を震撼させますが、長谷川平蔵によって取り押さえられ、斬首されています。

この犯人、30件にも及ぶ犯罪を克明に自白したようで、その内容が世に出たら・・・模倣犯を産みかねないと捕縛の10日後には処刑され、自白調書なども総べて焼却されたようです。

現代は世を挙げて情報公開を求めますが、公開すべきでない情報もあります。

オーム真理教の狂った価値観、犯行手順などがそれで、公開しない方が良いですね。

勿論、その判断は行政ではなく司法の責任でしょう。

検察、弁護、裁判・・・司法の3機能について、チェック機能がないのも課題です。

衆議院選挙の時の国民審査ですか? アレは全く機能していませんね。

99%の国民が無視しています。

最高裁判所の長官・・・司法の世界の論理で決められていきます。

その司法・・・最近はやたらと再審が多すぎます。

時間と国費の無駄です。

憲法談議と合わせ、司法の仕組みも再検討が必要だと思います。

歌麿の世界

今週は随所に歌麿が描いた代表作「ポッピンを吹く女」の図案が出てきました。

亡くなった恋女房、きよの姿を描いて、描いて、描いたうちの一枚です。

色づけはしていませんが、図柄はこの絵でしたね。

蔦重も・・・幕府の統制に意地を張りながらも、方向転換せざるを得ません。

「睨まれている」環境ですから「好色」「政治批判」が匂う書物を刊行したら・・・今度こそ出版界から抹殺されます。

黄表紙、洒落本・・・世俗小説、風刺劇画の世界から美人画、役者絵、道中画などの分野に転換していきます。

出版統制の中で、とりわけ監視されている立場では「法の網抜け」などの小細工は通用しません。

歌麿と蔦重の母親での宇都宮行き二人旅・・・その道中で何があるのか・・・来週が楽しみです。

写真

倹約、経費削減の経営効果

松平定信の改革は基本的に「倹約令」です。

経済規模を縮小して幕府の支出を抑え、長期負債を棒引きにして武士階級の懐を安定させようという政策でした。

将軍家御用達・・・という国家投資はなくなります。

大名普請もやりません。

公共投資なし。

大奥など、公的支出は半減し贅沢品・・・即ち芸術性の高い商品は売れません

武士階級が札差に借りた金のうち、5年以上前のものは棒引き・・・徳政令もどきです

結果はどうなるか? 

経済規模は縮小します。

徳政令を食らった札差などの民間金融機関は、武士へと貸し出しを制限します。

それはそうです。

お上の一声で帳消しにされる貸し金などするはずがありません。

旗本の家計ですが、年貢や蔵米支給で米が手に入ります。

これを札差に渡し、時々の米相場で現金化します。

これで借金を返済し、そして新たな借金をします。

「借り換え」ですね。

その都度、借金の額が増えていきます。

定信の改革では「古い借金」は棒引きでしたが、新しい借金には救済措置がありません。

借り換えを繰り返していますから古い借金などないのです。

旗本などは・・・古い借金は消えましたが、新規の融資が断わられますから手許に現金がありません。

定信の改革はありがた迷惑でした。

というより死活問題にもなりました。

企業でも・・・不景気になると「経費削減」が叫ばれます。要するに倹約令です。

経費削減の3K といえば交際費、交通費、広告宣伝費を云うことが多いですが、いずれも売上拡大・・・入るものを増やす事には逆行します。

「経費を削減して売上を増やせ」などと檄を飛ばす経営者は全くの世間知らずですよね。

そんなことができるのなら営業は要りません(笑)

それとも普段は全く売らずにいて、サボってばかりの営業なのでしょうか?

不要不急な3Kを見直して、集中投入する・・・永年続けてきた効果の薄い販促策をやめるなど、攻めの手段を考え直す機会にするのが本来です。

が・・・サラリーマン根性からすれば経費削減は歓迎ですね。

「仕事をするな」という指示でもあります。

動けば・・・交通費がかかります、宿題をもらって残業します。

この残業代が企業負担としては大きいのです。

だから・・・不要な電気は消せという運動をします。

電気が消えたら・・・残業できませんよね。

よく新聞に出る記事ですが、売上高1兆円の会社が消灯運動で年間500万円の経費削減をしたなどと記事にしますがバカバカしい話です。

実は残業代を数億円節約したのです。

従業員の年収を減らした節約効果の方が大きいのです。

勿論、お客様へのサービスは質量共に低下します。

手鎖50日の刑

写真

京伝が罰せられた手鎖の刑ですが、右のような手錠をかけられ、一定期間の「自宅謹慎」をさせられます。

軽度の犯罪で、逃亡のおそれのない罪人に適用する刑で、自宅ですから自由度はありますし、監視人はいません。

さらに、鍵も家族の信用できる者に預けられていますから、食事、トイレなどでは外すこともできたようです。

ただ、京伝は密告を畏れて食事中まで真面目に手錠を付けていたようですね。

余程・・・懲りたのでしょう。

東海道五十三次絵図 40 鳴海

岡崎女郎衆は ちん池鯉鮒

よく揃い鳴海絞は 宮の舟

こちゃ 焼き蛤を ちょいと桑名

鳴海宿から尾張国に入ります。

現在では尾張も三河も同じ愛知県ですが、人情という意味では農村型の三河と、商人型の尾張では大いに異なります。

重商主義の信長・秀吉と、農本主義の家康との差ですね。

五十三次絵図は朝でしょうか、夕方でしょうか? 

なんとなく疲れた雰囲気が漂います。

鳴海絞り

「こちゃへ」の歌に「鳴海絞り」とあります

それを描いたらしい絵がありました。

一方は絞り染めを作る染物屋の絵

もう一方はその手ぬぐいをした美人

有松鳴海絞りというのが正しい呼び方のようで、名古屋市の有松地区と鳴海地区で手がけ、現在では絞り染めの大半はこの地域で生産されていると云います。

この技法は元々豊後地方の特産だったようですが、名古屋城の築城に動員された豊後の人夫が絞り染めを身につけているのを目にした染め職人が、その技法を習得して始めたと云います。

近くの三河は木綿の生産地ですし、「手ぬぐい」という商品で売り出したのが成功して「鳴海絞り」が有名になりました。

この染め方は殆どが手作業ですから、同じ模様は出ません。

独自性というか、世界に一つ・・・が自慢ですね。

「鹿の子絞り」、波模様の「三浦絞り」、蜘蛛の巣模様の「くも絞り」・・・などが人気のようです。

鳴海は寺の多い街  【鳴海寺詣り歌】わらべ唄

東海道の鳴海宿   寺銭用意しなされや   西よりはじまる寺参り

風呂敷かぶりの光明寺   花井小路の長翁寺   ちょっと入った東福院

お腹に仏の如意寺   出たり入ったり誓願寺   三猿がまえ圓道寺

縁の高いは円龍寺   まんまん曲がって万福寺   木林山を真っ二つ

右に構える浄泉寺   中島橋の三つ股を   左に行けば浄蓮寺

右にとれば善明寺   平部はずれの金剛寺   松原越えて四本木の

左に傾く神明社   右に行けば御諏訪社   中におさまる二殿様

越えて絞りの有松の   左に高い天満社   右にとれば桶狭間

信長公の奇襲戦   義元公の首塚に  その霊まつわる長福寺